外食が低賃金だった時代は終わった。

外食産業について語られるとき、「給与が低い」「将来性がない」といった声を耳にすることが多い。

その言葉を聞くたびに思う。

果たして、それは事実を正しく見た上で語られているのだろうか、と。

一部上場している大手外食企業の給与水準を見ると、その実態は世間のイメージとは大きく異なる。

たとえば、FOOD & LIFE COMPANIES(スシロー)では、平均年収が770万円を超える。

トリドールホールディングス(丸亀製麺)も743万円、吉野家ホールディングスも700万円台に達している。

これらの数字は、日本全体の平均年収(約450万円)と比べても、明らかに高い水準だ。

もちろん、すべての外食企業がこの範囲に入るわけではない。

だが、業界全体を「低賃金」と一括りにするのは、明らかに誤りである。

さらに見落とされがちなのが、「目に見えない給与」の存在だ。

たとえば、多くの大手外食企業では、交通費は全額支給される。

通勤にかかる負担がないというのは、実質的な収入増加と捉えることができる。

また、家賃補助制度を設けている企業も少なくない。

一定の金額を住宅費に充てられるため、可処分所得は大きく変わる。

食事補助制度も重要だ。

出勤時のまかないや割引価格での食事提供は、日々の生活費を確実に支える。

さらに、労働時間管理にも変化が見られる。

一昔前のような「サービス残業」は減少傾向にあり、

1分単位で正確に時給計算を行う企業も増えている。

これらをすべて含めれば、単に支給される「額面給与」以上の恩恵を、従業員は受け取っている。

それでもなお、「給与が低い」と語られる背景には、個人経営の飲食店における厳しい現実があるのだろう。

しかし、大切なのは、働く場所をどこにするかという「選択」である。

企業規模や待遇制度を見極め正しい判断をすれば、外食産業は決して損なフィールドではない。

むしろ実力を積み重ね、キャリアを築いていくことも十分に可能な、堅実で実践的な世界であると言っていい。

外食産業における「給与」とは、単なる月給や年収だけでは測れない。

交通費、家賃補助、食事補助、正確な労働時間管理。

それらすべてを加味したうえで、初めてこの業界の「本当の報酬」が見えてくる。

誤解や偏見ではなく、事実に基づいて判断すること。

それこそが、これからの時代において、自らの道を切り拓くために必要な姿勢だと思う。

外食産業は、静かに、着実に、そうした真っ当な努力を積み重ねる人たちを迎え入れる準備を整えている。

外食産業を信じろ。

コメント

タイトルとURLをコピーしました